学校は子どもたちの生活する第二の家です。学校施設の環境づくりに木を使用することは、情操教育という面からたいへん効果があります。木は、反射光や紫外線を吸収し、断熱、調湿、防音の効果があるので、健康によい素材です。また木の丸み、柔らかさは安全性においても優れた特性を持っています。木の温かさと優しさは、子どもたちの豊かな感性を育て、精神的にも肉体的にも、快適で潤いのある環境を提供します。
1997年に環境を考慮し、省資源・省エネルギーを取り入れた学校施設であるエコスクールの推進が始まりました。エコスクールの事業タイプの1つに木材利用型があり、政府も学校施設の木材利用や内装の木質化を奨励しています。
その他にも文部科学省では、林野庁と連携しながら木材を活用した学校施設づくりに関する事例集の作成や講習会の実施により、地方自治体が学校施設への木材利用に積極的に取り組めるよう普及活動を行っています。また、木材を使用した学校施設の整備に国庫補助を行うなど、学校施設における木材利用をバックアップしています。
子どもたちにとって一日の大半を過ごす学校施設は、学習と生活の場ですが、ここはまた地域の公共施設としても重要な役割を果たしています。
そんな学校空間に、自然の優しさ、快適さをもたらす「木製建具」。
スクリーンや窓の室内側に天然木の温かさ、優しさを取り入れました。木のぬくもりを大切に、自然との一体感に満ちた開放感あふれるスペースを演出します。
樹木はフィトンチッドという健康を促す芳香剤を発しており、これは循環器、呼吸器系などに効果があるといわれています。ある木造校舎の小学校では、インフルエンザが流行った年、風邪をひいた生徒が少なく、学級閉鎖したクラスもなかったそうです。一方、子どものネズミを使った実験によると、コンクリートや金属製より木製ケージのほうが、断熱効果はほかの材質より優れ、生存率が高いという結果が出ています。木という自然の材質は、人も動物も健康にしてくれるのです。(資料提供:日本経済新聞)
森に行った時に感じるさわやかな香り……それは樹木の幹や葉から発散されるテルペンの香りです。樹木は自己防衛のために発散される物質が50〜100種類にも及び、その中でも最も多い香りの成分をテルペンと総称しています。そして、テルペンの中でも代表的な物質αピネンは、人間の自律神経に影響を与え、リラックス状態にしてくれることが知られています。この効果を上手に取り入れようというのが、森林浴です。αピネンは、ほとんどの樹木の中に少なからず含まれており、切り倒されて木材となった材料からも検出されています。人の精神にやすらぎを与える木は、学校教育の環境に最適なものといえるでしょう。
木は、わが国の風土にもっとも適した伝統的な建築材料です。木材は、古木として再利用が可能であり、また生産や廃棄の段階で有害な物質を発生させない有効資源です。産業廃棄物としての建築資材問題に対するリサイクル効果は大きいといえます。また、増改築や修復が容易であるという利点も見逃せません。新しい校舎の一部に旧校舎の床材を再利用した学校もあります。地域の景観や気候風土になじみ、自然と調和した木造建築は、人と地球環境に優しいのです。
●吸音効果 ●調湿効果 ●紫外線吸収効果 等